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パワハラで訴える証拠がない場合はどうする?有効な証拠や集め方を解説

弁護士監修記事
労働問題
2024年05月08日
2024年05月08日
パワハラで訴える証拠がない場合はどうする?有効な証拠や集め方を解説
この記事を監修した弁護士
(アシロ 社内弁護士)
この記事は、株式会社アシロの『ベンナビ編集部』が執筆、社内弁護士が監修しました。

パワハラ被害は、訴えることで差止めや損害賠償の請求ができます。

しかし、パワハラの被害を受けていても、「証拠がないから」と諦めてしまう人も少なくないでしょう。

今回は、パワハラを訴えるのを悩んでいる方に向けて、次の内容を解説します。

  1. 何がパワハラの証拠になるのか、証拠を集める方法
  2. パワハラの相談先
  3. パワハラを訴えるとどうなるか

パワハラの証拠はさまざまです。

自分では証拠にならないと思っていたものが証拠になる場合もあります。

証拠がないからと諦めず、ぜひ最後まで記事をご覧ください。

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パワハラを訴えるための証拠となるもの

パワハラの証拠には、以下のものが役立ちます。

  • ●日記・メモ帳の記録
  • ●目撃者の証言
  • ●医師の診断書
  • ●上司とのメール
  • ●写真・ビデオなど

これらの資料は証拠として有力であり、状況や訴えを裏付ける際に役立つので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

日記・メモ帳の記録

日記やメモは証拠にならないと考えている人も多いですが、しっかりと事実関係を整理しておけば立派な証拠になる可能性があります。

ポイントは積み重ねです。

たとえば日記の場合は、毎日書かれていることや、パワハラを受ける前から継続して書かれているかも重要です。

また、内容は抽象的なものでは情報不足になので、具体的な日時や、人物名がかかれていることも証拠の信用性を高める要素となります。

目撃者の証言

目撃者の証言は、パワハラの証拠としてそれのみでは信用性が低いことが多いです。

ただし、「人格を否定される言葉を浴びせられたことがある」「大勢の前で暴言を吐かれた」など、複数の社員から被害者と同じ証言が出てくることで、証言の信用性を高めることができます。

重要なのは、複数の人物から幅広く聞き取りをおこなうことです。

医師の診断書

医師の診断書は、精神的または身体的な被害を示す有力なパワハラ証拠です。

医師は被害者の状態を客観的に評価し、診断結果を提供します。

診断書を証拠として役立てるには、症状の詳細な内容とパワハラとの因果関係を示す医師の記載が重要です。

医師には診断書の中で事実だけを記載してもらい、可能であれば診察日や症状の発現日を明示するよう依頼しましょう。

これにより、医師の専門的な見解が裏付けとなり、被害を受けたことの証拠として役立てられます。

上司とのメール

不快な発言や威圧的な態度が含まれたメールは保存しましょう。

たとえば「あなたは他の社員と比べて能力が低いので、会社を辞めた方がよい」といった内容はパワハラに該当します。

過去に、裁判で証拠としてメールの内容が採用された事例もあるので、消される可能性もある場合は出来るだけ早く証拠として確保しておきましょう。

証拠を確保する場合は、文章だけを残すのではなく、送付先が特定されていることなども重要です。

写真・ビデオ

写真やビデオは、具体的かつ客観的な証拠が得られ、パワハラの存在を裏付けることができます。

ただし、現実的にはパワハラを受けている時に動画や写真を撮影するなど不可能に近いでしょう。

できる手段としては、同僚に撮影してもらうか、毎回同じ密室でパワハラがおこなわれるのであれば事前にカメラを設置しておくなどの方法があります。

パワハラ被害の相談先

パワハラ被害に遭った場合、相談先を探して力を借りることを検討しましょう。

まず、企業内の相談窓口を利用し内部で解決を試みることができます。

それでも解決できない場合は、労働局に相談するか、労働問題を得意とする弁護士にアドバイスを求めることが選択肢となります。

被害を早期に訴え、適切なサポートを受けることが重要です。

会社の相談窓口

会社に相談窓口や産業医といった相談先が整備されている場合、まずは頼ってみましょう。

こうした窓口は原則として相談者の匿名性を確保し、安心して相談できる環境を整えています。

相談者には個別のアドバイスやカウンセリングがおこなわれ、問題解決のための対応策が検討されるでしょう。

調査を通じて問題が解決できない場合は、上層部に報告され、適切な措置が取られる可能性があります。

ただし、社内の相談窓口は社内に相談したことが漏れる可能性もゼロではありません。

その場合、パワハラがさらに酷くなる可能性もあるので、加害者にばれたくない場合は社外の相談先を選びましょう。

労働局

労働局は、各都道府県に設置されており、無料で相談することができます。

ただし、会社に対して助言や指導をおこなってくれますが、あくまでも自主的な解決を促すものなので、根本的に解決したい場合は向いていません。

あくまで中立的に指導をおこなうので、解決できない場合は専門家を介したあっせんを利用することになるでしょう。

弁護士

弁護士に依頼すれば、法的な視点から相談者をサポートしてくれます。

ただし、すべての弁護士が必ずしもパワハラや労働問題に注力しているわけではないので、経験豊富な労働問題を得意とする弁護士を探しましょう。

弁護士への具体的な相談方法は、電話やメールでの相談・弁護士事務所での面談やZoom面談などがあります。

事務所により異なるので事前にホームページなどでチェックしておきましょう。

相談中は被害の詳細な説明や証拠の提出が求められるので、できるだけ具体的な情報や証拠を持っていきましょう。

証拠の収集方法がわからない場合でも、「こうすれば法的に強力な証拠になる」などのアドバイスも期待できます。

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証拠なしにパワハラを訴えるリスク

証拠がない状態でパワハラを訴えると、訴えが認められにくく、職場での関係悪化や精神的ストレス、キャリアへの影響、法的費用の増大、さらには反訴のリスクが伴います。

証拠を持たない状態で訴訟を起こすリスクについて、1つ1つ確認していきましょう。

加害者に認めてもらえない

証拠がない状態でパワハラを訴えた場合、加害者が認めず法的な立証が難しくなります

最悪の場合、訴訟は長期化し法的費用が増大する可能性もあります。

職場内での関係も悪化し、誤解や偏見が生じるリスクも高まります。

二次被害・パワハラがエスカレートする可能性

パワハラの証拠がない場合、加害者や職場が認めないだけでなく、さらにパワハラがエスカレートしたり、二次被害が出てきたりといったリスクがあります。

訴訟したことが公になることで、職場内での人間関係が悪化し、さらに職場いじめに発展する場合もあるでしょう。

二次被害やパワハラがエスカレートした場合、弁護士や労働組合などの外部機関に相談しましょう。

弁護士であれば法的アドバイスを提供し全面的にサポートしてくれるので、問題解決のための最適な策を取ることができます。

パワハラ被害を弁護士に相談するメリット

弁護士にパワハラを相談するメリットは、まず、証拠の判断や集め方に関する専門的なアドバイスを受けられることです。

その他、さまざまなメリットがあるので以下で確認していきましょう。

証拠の判断、証拠の集め方についてのアドバイスをもらえる

弁護士は法律の専門家として「裁判で有効な証拠」を熟知し、その収集方法・選別をサポートしてくれます。

証拠を収集する最善の方法や、自分では集め方が分からなくても実は証拠として役立つものなどがあれば専門的視点から適切なアドバイスをもらえるでしょう。

また弁護士は、第三者である目撃者や関係者からの証言を取り入れる方法や、証言の信用性を高めるためのアプローチも提案してくれます。

その他にも重要な文書やメールの保存方法を指示し、証拠の維持に役立つアドバイスもしてくれます。

労災認定の手続きをスムーズに進められる

パワハラで心身に不調をきたした場合、労災認定が下りる可能性があります。

弁護士はあらゆる法手続きを代行することができるので、認定手続きをスムーズに進められるでしょう。

具体的なサポート内容としては、例えば下記などがあります。

  • ●医療証明書の取得を助言する
  • ●労災認定の手続きに必要な証拠を整理する
  • ●労災認定のための法的なプロセスを踏み、正確な手続きをおこなう
  • ●必要に応じて、労働者と企業との間で円滑な対話や交渉をおこない、認定のスピードアップを図る

これらに加えて労働問題に力を入れている弁護士なら、病院の紹介やカウンセラーの紹介もおこなっていることもあるでしょう。

法的手段を駆使して慰謝料を請求できる

弁護士は唯一、相談者のために法廷の場に立つことができます。

パワハラは立件できれば刑事事件としての裁判も可能ですし、民事訴訟で慰謝料の請求をすることもできます。

具体的なサポートとしては下記などがあげられます。

  • ●慰謝料請求に関する法的手続きや要件について明確なアドバイスをおこなう
  • ●被害者が受けた損害や苦痛に基づいて公正かつ適切な慰謝料を算出する
  • ●企業や相手方との交渉を代理でおこない、合意が得られない場合は訴訟手続きを進める
  • ●法的専門知識をもとに交渉を進め、被害者が公正な和解条件を得るためにサポートする

裁判では訴状の作成や口頭弁論への対応、さらには有力な証拠も用意しなくてはなりません。

慰謝料を確実に受け取りたい場合は、弁護士のサポートが欠かせないでしょう。

パワハラ被害を弁護士に相談する際の注意点

弁護士にパワハラ被害を相談する際は注意点があります。

以下でそれぞれ具体的に見ていきましょう。

問題解決までに時間がかかる可能性がある

弁護士に相談する場合でも、すぐに解決できるとは限りません。

特にパワハラの証拠がなく、加害者や会社がその事実を認めない場合、長期化する傾向があります。

手続きや書類の準備・法廷での審理など、法的なプロセスは複雑で、訴訟や交渉には時間がかかります。

より確実に進めるための証拠の収集もサポートしてくれますが、これにも時間がかかるでしょう。

中には解決までに1年以上かかることもあるので、得られる慰謝料が少なかったり、時間がかかりすぎて精神的な負担が大きかったりする場合は訴訟を見送ることも必要になるでしょう。

慰謝料よりも弁護士費用が高額になる可能性がある

特に労働問題で証拠がない場合、交渉が長期化し、それに伴い裁判費用・弁護士費用が増大していくことがあります。

この場合、慰謝料よりも弁護士費用が高額になる可能性があることも注意が必要です。

費用倒れしないためには、弁護士に相談の際にその可能性があるかどうか、料金体系や見積もりを明確に説明してくれる弁護士を選ぶようにしてください。

さいごに|パワハラ問題を争うには弁護士への依頼がおすすめ

証拠が不十分でも、弁護士に相談すれば専門的な助言と法的戦略を授けてくれます。

ただし、デメリットもあり、費用と時間がかかる可能性があるということです。

慰謝料獲得に重きを置く場合は、証拠収集や法的サポートが得られるため、労働問題に力を入れている弁護士に相談してみましょう。

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編集部
本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
  • ※ベンナビに掲載されているコラムは、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。
  • ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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