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労働審判で未払いの残業代を取り戻す方法|手続きの流れやかかる費用を解説

弁護士監修記事
労働問題
2023年08月03日
2024年04月22日
労働審判で未払いの残業代を取り戻す方法|手続きの流れやかかる費用を解説
この記事を監修した弁護士
(アシロ 社内弁護士)
この記事は、株式会社アシロの『ベンナビ編集部』が執筆、社内弁護士が監修しました。

未払いの残業代がある場合、適切な手続きを踏むことで会社側に請求することが可能です。

しかし、適切な手続きを踏んだにもかかわらず、会社側に無視されたり、何かと理由をつけて遅延されたりと、悩んでいる方も多く見られます。

未払いの残業代を請求しても取り合ってもらえないなら、労働審判をおこなうのもひとつの手段です。

労働審判とは、労働者と会社側との間で生じたトラブルを解決するための手続きで、訴訟よりも期間や費用をかけずにおこなうことができる制度です。

本記事では、残業代請求で労働審判をおこなう流れや、実際にかかる費用などを解説します。

残業代請求を検討しているなら、ぜひ参考にしてください。

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残業代請求で労働審判をおこなうメリット

以下では、労働審判を利用するメリットを紹介します。

迅速な解決が可能になる

残業代請求について訴訟をおこなうと、結審までに1年以上かかることもめずらしくありません。

一方、労働審判の場合は原則として3回以内の期日で審理を終えることが求められているため、迅速な解決が可能です。

裁判所では、事件の67.6%が申し立てから3ヵ月以内に終了していることを統計として公表しており、素早い解決および長期間にわたるストレスや経済的な負担を軽減することができます。

【参考】労働審判手続|裁判所

柔軟な解決が期待できる

調停の成立によって決着させるメリットは、柔軟な解決が期待できることです。

労働審判では、審判までおこなわれず、調停成立によって決着することも珍しくありません。

裁判所が公表しているデータによると、令和2年に発生した労働審判事件のうち、約68%が調停成立により決着しています。

たとえば、裁判において、解雇の無効を訴え、解雇の違法性が認められた場合は、基本的に復職をすることになります。

しかし、労働者は本心では復職を望んでおらず、違法な解雇に対する慰謝料や解決金で解決したいと考えている場合もあります。

このように労働者が金銭解決を望んでいる場合には、労働審判手続きを利用することにより、双方が納得のいく解決策を見つけやすいといえます。

【参考】第92表 労働審判既済事件数 ―事件の種類及び終局区分別 ―全地方裁判所|裁判所

裁判所に納める費用を抑えられる

労働審判は、通常の訴訟手続きに比べて申し立てる際の費用が抑えられます。

また、訴訟を起こす場合と比べて解決までの期間も短くなるため、一般的に、弁護士を依頼する場合の費用も抑えられます。

確定した場合法的な拘束力を持つ

労働審判の結果が確定すると、法的な拘束力を持つ裁判の和解と同等の効力を持ちます。

これにより、会社側が決定に従わない場合、強制執行などの法的手段を講じることが可能になります。

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残業代請求で労働審判をおこなう流れ

ここでは、残業代請求で労働審判をおこなう流れを解説します。

残業の証拠を集め、残業代を計算する

残業代を請求するためには、残業の証拠を集め、未払い分の残業代を計算する必要があります。

残業代の証拠としては、タイムカードや勤怠記録、業務に関するメールや通話履歴などが有効です。

また、残業代の計算方法は雇用契約書などに記載されている場合が多いため、確認しておきましょう。

残業代の計算について詳しくは年俸制で残業代が出ない場合は損している!残業代の計算方法と請求方法を解説をご覧ください。

残業代を会社に請求する

次に、集めた証拠と計算した残業代をもとに、会社に対して請求をおこないます。

この際に、内容証明郵便を利用することをおすすめします。

残業代請求をおこなった記録を残すことができるため、労働審判に発展した際に有利になる場合があります。

内容証明郵便による請求によって会社が支払いに応じる場合、労働審判は不要になります。

労働基準監督署に申告する

会社が残業代を支払う意向を示さない場合、次のステップとして労働基準監督署に申告します。

労働基準監督署は労働基準法違反に関する相談を幅広く受け付けており、相談をもとに会社に対して調査や指導をおこなうことができます。

ただし、調査の結果、違法行為やその証拠が明確に示されなかった場合、指導をおこなうことはできないため、その場合は労働審判をおこないます。

未払いにおける労働基準法違反については残業代未払いは労働基準法違反|残業代の計算方法・請求方法などを解説をご覧ください。

労働審判の申し立てをおこなう

会社が残業代を支払う意向を示さない場合、会社を管轄する地方裁判所に対して労働審判の申し立てをおこないます。

申し立てが受理されると、裁判所は労働審判官1名および労働審判員2名で構成される労働審判委員会を組織します。

審理をおこない、調停を検討する

労働審判委員会は、申し立てを受けてから40日以内に労働審判の初回期日を設けます。

審理は原則として3回以内の期日で終結させ、その間に労働審判委員会が事件に関する心証を形成します。

もし初回期日で妥協点が見つけることができれば、この時点で調停成立となり終了します。

ただし、初回期日で双方が譲歩できない場合や、調停がまとまらない場合は、第2回、第3回期日が設けられます。

労働審判をおこなう

調停が成立しない場合、審判がおこなわれ判断が下されます。

調停もしくは審判が成立した場合、内容によっては強制執行も可能となります。

残業代請求の場合であれば、会社側に一定の金額の支払いが求められるでしょう。

必要に応じて異議申し立てをおこなう

労働審判の結果に不満がある場合、2週間以内であれば異議申し立てをおこなうことができます。

これにより、裁判所での訴訟手続きが自動的に開始されます。

必要に応じて訴訟をおこなう

異議申し立て後、裁判所での訴訟が始まります。

下された労働審判は失効となり、労働審判を申し立てた時点までさかのぼり、訴訟提起があったとみなされます。

これにより、労働審判の申し立てから訴訟が終了するまでのあいだ、請求している権利が時効にかかることはありません(時効の完成猶予)。

まとめ|残業代請求で労働審判をおこなうなら弁護士に相談

労働審判は裁判所での訴訟に比べて手続きが簡易で、費用負担も軽減されるため、多くの労働者にとって利用価値の高い手段です。

また、残業代請求で労働審判を利用する際は、弁護士に相談することが重要です。

弁護士は法律の専門家であり、労働者の権利を守るために必要な手続きを適切に進めることができます。

未払いの残業代に悩んだら、まずは無料相談を活用してみましょう。

弁護士に相談する場合は労働問題の24時間無料相談窓口|その他の窓口も受付時間別に紹介をご覧ください。

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本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
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