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不倫されたら慰謝料請求|金額相場・増額要素・不倫相手に対する請求などを解説

弁護士監修記事
離婚トラブル
2023年02月17日
2024年04月25日
不倫されたら慰謝料請求|金額相場・増額要素・不倫相手に対する請求などを解説
この記事を監修した弁護士
阿部 由羅弁護士 (ゆら総合法律事務所)
ゆら総合法律事務所の代表弁護士。不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。

配偶者の不倫が発覚した場合、慰謝料を請求できる可能性があります。

不倫慰謝料は離婚しなくても請求できるほか、配偶者に加えて不倫相手に対しても請求可能です。

不貞行為の証拠を確保したうえで、裁判例を踏まえた適正な金額による請求をおこないましょう。

今回は、不倫慰謝料の金額相場・増額要素・慰謝料請求に当たってのポイントなどを解説します。

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配偶者に不倫されたら慰謝料請求が可能

配偶者が他人と性交渉を行った場合、配偶者や不倫相手に対して慰謝料を請求できます。

慰謝料とは?

慰謝料とは、精神的損害を補填する賠償金を意味し、不法行為(民法709条)に基づいて支払義務が発生します。

不法行為の成立要件は、「故意または過失により、他人に対して違法に損害を与えたこと」です。

したがって、不倫が不法行為に該当する場合には、配偶者や不倫相手に対して慰謝料を請求できます。

不倫(不貞行為)は「不法行為」に該当|慰謝料請求の対象になる

配偶者以外の者と性交渉をおこなうことを「不貞行為」と言います。

不貞行為は、裁判離婚の要件である「法定離婚事由」のひとつとされています(民法770条1項1号)。

この規定の解釈上、夫婦は互いに「配偶者以外の者と性交渉をしない」という貞操義務を負うと解されます。

したがって不貞行為は貞操義務違反として違法であり、不貞行為をした者には、被害者である配偶者に対する不法行為が成立するのです。

不倫慰謝料は離婚しなくても請求できる

不倫慰謝料請求権は、配偶者と離婚するか否かにかかわらず発生します。

配偶者と離婚することは、不倫について不法行為が成立するための要件ではないからです。

したがって、配偶者と離婚しない場合であっても、配偶者に対して不倫慰謝料を請求することができます。

不倫慰謝料は、不倫相手に対しても請求できる

不貞行為をした者(被害者の配偶者)だけでなく、不貞行為の「共犯者」である不倫相手にも、被害者に対する不法行為が成立します。

そのため被害者は、配偶者と不倫相手の両方に対して、不倫慰謝料を請求できます。

配偶者と不倫相手は、連帯して慰謝料を支払う義務を負う

不貞行為の当事者である配偶者と不倫相手は、被害者に対する「共同不法行為者」と位置づけられます。

共同不法行為者は、被害者に対して連帯して損害賠償をおこなう義務を負います(民法719条1項)。

配偶者と不倫相手は、被害者の請求に応じて、被害者に生じた損害全額を賠償しなければなりません。

被害者は、いずれか一方に対して全額の損害賠償を請求してもよいですし、それぞれに分けて損害賠償を請求することもできます。

つまり、配偶者と不倫相手のどちら対して損害賠償を請求するかを、被害者が選択できるのです。

一般的に、離婚しない場合には、不倫相手のみに対して慰謝料を請求するケースが多いです。

これに対して離婚する場合には、離婚協議の中で、配偶者のみに対して慰謝料を請求するほうが便利なことが多いでしょう。

しかし、配偶者に資力がない場合には、不倫相手に対する請求を選択することも考えられます。

「求償」に関する注意点

前述のとおり、配偶者と不倫相手は、被害者の請求に応じて全額の損害賠償をおこなわなければなりません。

その一方で、不貞行為に関する責任の程度に応じて、配偶者と不倫相手の間には内部的な負担割合が存在します。

自身の内部的負担割合を超えて、被害者に対して損害賠償を行った場合、もう一方の共同不法行為者に対して超過分の支払いを請求できます。

これを「求償」と言います。

不倫慰謝料請求後の求償について、被害者が注意すべきなのは、配偶者と離婚しない場合です。

配偶者と離婚しない場合、不倫相手に対してのみ慰謝料を請求するケースが多いでしょう。

しかし、不倫相手に慰謝料全額を請求すると、後に不倫相手が配偶者に対して求償することが予想されます。

そうなると、家計から求償分のお金が出て行ってしまいます。

不倫をした配偶者と離婚しない場合には、精算の二度手間を防ぐために、被害者・配偶者・不倫相手の三者間で和解をおこなうことがあります。

この場合、不倫相手は求償権を放棄する代わりに、被害者は慰謝料の減額を受け入れざるを得ないことが多い点に注意しましょう。

不倫相手に慰謝料を請求できないケース

不倫についての不法行為は、配偶者のみに成立し、不倫相手には成立しないというケースも考えられます。

不倫相手に不法行為が成立しないのは、不貞行為であることについて、不倫相手に故意も過失も認められない場合です。

具体的には、配偶者が既婚であることを秘密にしていた場合、不倫相手には不貞行為であることの故意が認められない可能性があります。

既婚であることを知る何らかのきっかけがあれば、不倫相手に過失が認められます。しかし、既婚であることを知るきっかけが全くない場合は過失も否定され、不倫相手の不法行為は成立しません。

不倫相手に不法行為が成立しない場合、不倫相手に対する慰謝料請求は認められないことに留意しましょう。

不倫慰謝料の金額相場は?

不倫慰謝料の金額は、離婚に至るかどうかをはじめとして、個別の事情によって異なります。

あくまでも目安ですが、不倫慰謝料の金額相場は、大まかに以下のとおりです。

離婚しない場合の不倫慰謝料の金額相場

離婚せずに婚姻関係を続ける場合、不倫慰謝料の金額は50万~200万円程度が目安です。

ただし形式的に婚姻関係が続いていても、恒常的な別居状態となるなど婚姻関係が破綻した場合には、離婚する場合に準じた金額の慰謝料を請求できる可能性があります。

なお上記は求償前の金額であり、不倫相手にのみ不倫慰謝料を請求する場合、配偶者に対する求償があり得る点に注意が必要です。

離婚する場合の不倫慰謝料の金額相場

不倫が原因で離婚に至る場合、不倫慰謝料の金額は100万~300万円程度が目安です。

例えば、婚姻期間10年前後・未成熟子ありのケースでは200万円程度を基準として、その他の要素を考慮した調整がおこなわれます。

不倫慰謝料の増額要素

不倫慰謝料は、以下のいずれかまたは複数の要素が存在する場合、標準的な金額よりも増額される傾向にあります。

婚姻期間が長い

婚姻期間が長ければ、円満な夫婦関係を破壊されたことによる損害が大きいと評価され、不倫慰謝料が高額となる傾向にあります。

婚姻期間がおおむね20年以上の場合は、不倫慰謝料の増額要素となる可能性が高いです。

未成熟の子どもがいる

未成熟の子どもがいる状況で不倫をした場合、家庭の崩壊による悪影響が大きいため、不倫慰謝料が高額となる傾向にあります。

なお、子どもが成人年齢に達しているかどうかにかかわらず、経済的に自立していなければ未成熟子として取り扱われます。

不倫の期間が長い

不倫の期間が長ければ長いほど、貞操義務違反の程度が著しいと評価され、不倫慰謝料の増額要素として働きます。

不貞行為が単発的ではなく、数か月~1年以上にわたって継続的におこなわれた場合には、不倫慰謝料の増額に繋がることが多いです。

頻繁に不貞行為がおこなわれている

不貞行為の頻度が高いことも、不倫慰謝料の増額要素として働きます。

たとえ比較的短期間でも、毎週のように不貞行為を繰り返していれば、不倫慰謝料が増額される可能性が高いです。

また当然ながら、長期間にわたって頻繁に不貞行為を繰り返した場合には、不倫慰謝料が増額される可能性はさらに高まります。

配偶者と不倫相手の間に子どもがいる

配偶者が不倫相手との間に子どもを設けた場合、夫婦関係に対する裏切りの度合いが著しいものとして、不倫慰謝料が増額される可能性が非常に高いです。

配偶者と不倫相手の間に子どもがいるかどうかは、戸籍謄本を取り寄せることによって確認できます。

配偶者や不倫相手が、不倫について反省していない

配偶者や不倫相手に反省が見られない場合には、被害者の精神的損害が一向に緩和されないことを理由に、高額の不倫慰謝料を認められる可能性があります。

特に、発覚後も不倫関係が続いているようなケースでは、配偶者や不倫相手が反省していないと評価される可能性が高いでしょう。

不倫をきっかけに別居している

離婚にまでは至らなくとも、不倫をきっかけに夫婦が別居した場合には、夫婦関係に与えた悪影響が著しいものとして不倫慰謝料が高額となる可能性が高いです。

特に別居した後、配偶者が不倫相手と同居している場合には、不倫慰謝料がいっそう高額となることが予想されます。

不倫をきっかけに離婚した

不倫をきっかけとして離婚に至った場合、夫婦関係を破綻させられたことによる損害は甚大であるため、離婚しない場合よりも不倫慰謝料は高額となります。

離婚しない場合と離婚する場合の、不倫慰謝料の金額目安の違いは、前述のとおりです。

このように、不倫慰謝料には考慮すべき要素が多く、ケースごとに金額の差が広くなっています。

まずは弁護士に相談し、適正な慰謝料を請求できるよう準備を進めていきましょう。

不倫慰謝料を請求できないケース

配偶者が不倫(不貞行為)をしたことが真実であっても、以下のいずれかに該当する場合には、配偶者に対して不倫慰謝料を請求できない可能性があります。

不倫当時、すでに婚姻関係が破綻していた場合

配偶者以外の者との性交渉があった時点で、婚姻関係がすでに破綻していた場合には、不法行為は成立しないと解されています。

この場合、婚姻関係が法的保護に値する状態にないからです。

ただし婚姻関係が破綻したと評価されるのは、長期間別居が続いていた場合や、悪質なDV・モラハラが長期間継続していた場合などの例外的なケースに限られます。

一時的に夫婦仲が悪くなったという程度では、婚姻関係の破綻は認められない点に注意が必要です。

夫婦がお互いに不倫していた場合

夫婦がそれぞれ不貞行為をした場合、両者に不法行為が成立します。

この場合、お互いが相手に対して慰謝料請求権を獲得しますが、結果的にその大部分が相殺されてしまい、慰謝料を請求できないケースが多いです。

ただし頻度や回数などを考慮して、不貞行為の悪質性に差がある場合には、責任の軽い側による慰謝料請求が一部認められる可能性があります。

慰謝料請求権の消滅時効が完成した場合

不倫の場合、不法行為に基づく慰謝料請求権は、以下のいずれかの期間が経過すると消滅時効が完成します(民法724条)。

  1. 被害者が損害および加害者を知った時から3年間
  2. 不法行為の時から20年間

慰謝料請求権の消滅時効が完成すると、請求の相手方となる配偶者・不倫相手が時効を援用した場合、不倫慰謝料を請求できなくなってしまいます。

不倫慰謝料請求権の消滅時効完成が迫っている場合には、内容証明郵便を送付して時効の完成を6か月間猶予したうえで(民法150条1項)、慰謝料請求訴訟などの法的措置を講じましょう。

適正な不倫慰謝料を請求・回収するためのポイント

十分な金額の不倫慰謝料を請求・回収するためには、不貞行為の証拠を確保したうえで、裁判例を踏まえた分析・検討をおこないましょう。

また、万が一不倫慰謝料が不払いとなった場合に備えて、合意内容を公正証書化しておくことも大切です。

不倫慰謝料の請求を有利に進めたい場合には、弁護士へのご依頼をお勧めいたします。

不倫問題に強い弁護士は不倫問題の解決に強い弁護士の選び方|費用相場や慰謝料の計算方法を詳しく解説をご覧ください。

不貞行為の証拠を確保する

不倫慰謝料の支払いを相手に認めさせるためには、不貞行為の証拠を確保することが重要です。

<不貞行為の証拠例>

  • 不倫相手の自宅やラブホテルなどに出入りする現場の写真、動画
  • 性交渉の現場を撮影した写真、動画
  • 配偶者と不倫相手の間でおこなわれたメッセージのやり取り
  • 配偶者と不倫相手の通話録音 など

動かぬ証拠を提示することで、相手が観念して不倫慰謝料の支払いに応じる可能性が高まります。

また、仮に訴訟に発展した場合でも、不貞行為の確固たる証拠があれば、裁判所が慰謝料の支払いを認める可能性が高いです。

必要に応じて興信所なども活用して、できる限り不貞行為の証拠を集めましょう。

不貞行為の証拠について詳しくは不貞行為の証拠とは?慰謝料請求に必要な証拠の集め方や注意点をご覧ください。

裁判例を踏まえた請求をおこなう

不貞行為についての慰謝料請求が問題となった裁判例を分析すると、客観的に請求可能な不倫慰謝料の金額が見えてきます。

ご自身の状況と類似した裁判例を複数ピックアップして交渉すると、請求内容に説得力が増します。

弁護士を通じて請求する

弁護士を通じて請求をおこなうことで、適正な不倫慰謝料をスムーズに得られる可能性が高まります。

法的根拠や裁判例の裏付けをもって請求できるほか、論点を整理したうえで冷静な話し合いをおこなうことで、早期の和解が成立しやすくなるからです。

特に、配偶者や不倫相手との慰謝料請求交渉が暗礁に乗り上げた場合には、弁護士を代理人に選任することをお勧めいたします。

弁護士へ相談する場合は離婚問題を弁護士に電話で無料相談できる窓口|24時間相談受付もをご覧ください。

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合意内容を公正証書化する

不倫慰謝料の支払いについて合意に至った場合には、合意内容をまとめた公正証書を作成することをお勧めいたします。

公正証書に「強制執行認諾文言※」を記載しておけば、不倫慰謝料の不払いが発生したとしても、訴訟などを経ることなく強制執行を申し立てることができるからです(民事執行法22条1項5号)。

※強制執行認諾文言:債務不履行が生じた場合には、直ちに強制執行に服する旨の債務者の陳述

不倫慰謝料回収の確実性を高めるためにも、弁護士のサポートを受けながら公正証書を作成しておきましょう。

配偶者と離婚する場合、不倫慰謝料以外に請求できる金銭

不倫が原因で配偶者と離婚することになった場合には、配偶者に対して、不倫慰謝料以外に以下の金銭を請求できる可能性があります。

弁護士とともにあらゆる可能性を検討しながら、漏れのないように請求をおこないましょう。

①財産分与 婚姻中に取得した夫婦の共有財産を、原則として2分の1ずつに分けます(民法768条1項)。
②婚姻費用 離婚前に別居期間がある場合、別居中の生活費等を収入に応じて精算します(民法760条)。裁判所が公表している「婚姻費用算定表」を参照することが多いです。
③養育費 夫婦の間に子どもがいる場合、非同居親が子に対する扶養義務(民法877条1項)の履行として、同居親に養育費を支払います。裁判所が公表している「養育費算定表」を参照することが多いです。

参考元:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について|裁判所

まとめ

配偶者の不倫が発覚した場合、離婚するか否かにかかわらず、配偶者と不倫相手に慰謝料を請求できます。

不倫慰謝料の金額は、離婚するかどうかをはじめとして、個々の事情により異なります。

状況を適切に分析し、ご自身に有利な事情と証拠を提示したうえで、適正額による慰謝料請求をおこないましょう。

不倫慰謝料の請求は、弁護士に依頼するのがスムーズです。

法的根拠や裁判例を基に説得的な主張を展開できるほか、相手との交渉などをおこなう労力やストレスを軽減できます。

不倫慰謝料を請求したい方は、一度弁護士まで相談してください。

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編集部
本記事はベンナビを運営する株式会社アシロが企画・編集をおこないました。
  • ※ベンナビに掲載されているコラムは、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。
  • ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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