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連帯保証人が死亡した場合の相続はどうなる?知らなかったときの対処法や調べ方も解説

弁護士監修記事
遺産相続
2023年05月16日
2024年04月08日
連帯保証人が死亡した場合の相続はどうなる?知らなかったときの対処法や調べ方も解説
この記事を監修した弁護士
武藏 元弁護士 (法律事務所エムグレン)
弁護士歴10年以上にわたって多数の相続トラブル解決に尽力。多数のメディアに出演し監修を行うなど、豊富な経験・実績を持つ。
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「亡くなった方が連帯保証人になっている場合の相続はどうなるんだろう?」

「連帯保証人になっていることを知らずに相続してしまった!どうすればよいのだろう」

亡くなった方が連帯保証人になっている場合、相続を受けると債務も引き受けることとなります。

そのため、事前に故人が連帯保証人になっていることがわかっている場合は、以下の方法を取ることをおすすめします。

  • 連帯保証人の地位を相続放棄で回避する
  • プラスの遺産が多い場合はそのまま相続する

連帯保証人の地位が負担になるようであれば、相続をまるまる放棄する「相続放棄」をおこなうことで債務を引き受ける必要がなくなります

ただし、この場合は本来受け取れるはずだった相続も放棄することとなります。

そのため、もしも債務を差し引いたとしても遺産がプラスになるようであれば、そのまま相続することを検討してもよいでしょう。

この記事では、連帯保証人が死亡した場合はどうすればよいのか、連帯保証人であることを知らずに相続してしまった場合の対処法について詳しく解説します。

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連帯保証人が死亡した場合は債務も相続する

冒頭でも解説したとおり、連帯保証人が死亡した場合の相続では、債務も相続することとなります。

ここでは、連帯保証人が死亡した場合の債務について詳しく解説します。

連帯保証人の債務を相続する場合の分け方

相続人が亡くなった方の連帯保証人の債務を請け負う場合、原則として民法で定められた法定相続分で分割することになります。

亡くなった方に配偶者がいる場合、配偶者は必ず法定相続人となります。

配偶者以外では、「子(または孫)」「親(または祖父母)」「兄弟姉妹」までが法定相続人となり得ます。

相続を受け取る優先順位(相続順位)は、以下のとおりです。

順位

範囲

法定相続分

第1順位

子(または孫)

配偶者:2分の1

子(または孫):2分の1

第2順位

親(または祖父母)

(子がいない場合)

配偶者:3分の2

親(または祖父母):3分の1

第3順位

兄弟姉妹

(子も親もいない場合)

配偶者:4分の3

兄弟姉妹:4分の1

これらは相続を受け取る際に適用されますが、今回のように連帯保証人の債務のような場合にも同様に適用されます。

たとえば、亡くなった方に1,000万円分の債務があった場合。妻と2人の子どもがいた場合には以下のように分割されます。

法定相続人

債務の額

500万円

250万円ずつ

 

ちなみに連帯保証人の場合、主債務者が債務を支払えば特に問題はありません

主債務者が債務を支払えなかった場合に、連帯保証人に支払いの義務があります。

特定の相続人が債務を引き受けることも可能

法定相続分どおりに分割せず、特定の相続人が債務を引き受けることも可能です。

相続人全員で遺産分割協議をおこなって合意を得たら、遺産分割協議書を作成します。

そうすることで、誰か一人が債務を引き受けたり、分割の割合を変えたりすることも可能となります。

たとえば亡くなった方が連帯保証人として債務をもっていて、妻と2人の子がいる場合は、子どもたちだけで債務を引き受けるといったことも可能ということです。

ただし注意点として、遺産分割協議は相続人同士で話し合って決められることがあげられます。

そのため、誰か一人が債務を請け負ったとしても、法的にはほかの相続人も連帯保証人のままです。

もしも債務を請け負うと決めた相続人が支払いを怠った場合は、やはりほかの相続人が債務を支払わなければなりません。

相続対象にならない連帯保証人もある

ここでは、連帯保証人の中で相続の対象外にならないものについて解説します。

身元保証人は相続対象外

まず、身元保証人の場合は相続の対象外となります。

身元保証人とは、身元を保証し、かつ自身の行為によって発生した損害の責任を負う第三者を指します。

これは、本人と身元保証人の信頼関係のうえで成り立つものなので、本人が亡くなった場合に法定相続人に相続されることはありません。

ただし、身元保証をした人が何らかの損害を出したことで損害賠償をしなければならない債務がある場合には相続されます。

根保証は相続対象外

根保証契約とは、たとえば不動産をもっている場合に保証の上限額(極度額)を定めて、将来発生する可能性のある債務まで補償することです。

根保証の場合は、債務者が亡くなった時点で元本を確定します。

そのため、債務者が死亡したあとに発生した損害については相続されません。

死亡した方が連帯保証人だったときの対処法

ここでは、亡くなった方が連帯保証人になっていたときの対処法について解説します。

連帯保証人の地位を相続放棄で回避する

相続放棄とは、相続の権利を放棄することです。

相続放棄をおこなうと債務を請け負う必要はなくなります。

しかし、注意点としては、相続放棄をおこなうのは相続が開始されたことを知ってから3ヵ月という期限があることです。

もしも亡くなった方が連帯保証人になっていることを知らずに、相続放棄の申述期限である3ヵ月を過ぎてしまうと相続放棄はできず、連帯保証人の地位も相続されます。

プラスの財産が多い場合はそのまま相続するのも手

マイナスの財産(債務)とプラスの財産を合わせたときに、プラスの財産のほうが多い場合には、そのまま相続するとよいでしょう。

もしも、亡くなった方がどれくらいのマイナスをもっていたのかがはっきりとわからない場合には、「限定承認」という方法を取ることもできます。

限定承認は、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続できる仕組みです。

なお、プラスの財産以上にマイナスの財産が多かった場合は切り捨てられます。

注意点として、限定承認の場合は相続人全員の合意を得る必要があります。

連帯保証人であることを知らずに相続するとどうなる?

ここでは、亡くなった方が連帯保証人であることを知らずに相続してしまった場合の対処法について詳しく解説します。

債務を全額返済する

債務を相続した場合の取る選択肢として、全額引き受けて返済するという方法があります。

返済に応じない場合、年利5~10%で債務は雪だるま式に増えていきます

そうしないためには、可能であれば債務を引き受けて全額返済することです。

そのうえで、主債務者やほかの連帯保証人へ求償をする方法もあります。

ただし、連帯保証人として債務を全額返済する場合には、主債務者とほかの連帯保証人に借金の支払いをおこなうことを伝えておく必要があります。

借金の支払いをおこなうことを伝えずに急に求償請求をおこなってしまうと、トラブルになってしまうことがあるためです。

任意整理をおこなう

任意整理とは、もともと支払う必要のある債務を軽くするために、金融機関などの債権者に減額交渉をする方法です。

【関連記事】任意整理とは?メリット・デメリット・相談先・弁護士に相談する際の流れ

個人再生をおこなう

個人再生は、裁判所を通じて債務を減額するための手続きです。

個人再生をおこなうと、債務をおおむね5分の1に減額できます。

任意整理は将来利息(今後支払う利息)の範囲で減額またはカットをおこないますが、個人再生の場合は元本を大幅に減額できることが大きな違いです。

個人再生なら、住宅ローンがある場合にも住宅を残して債務の圧縮ができます。

個人再生は任意整理よりもさらに手続が複雑になりがちなので、弁護士に依頼することをおすすめします。

自己破産する

自己破産の手続きをすることで、借金をゼロにする方法です。

裁判所に「破産申立書」を提出して認められると自己破産が可能になります。

ただし、自己破産をおこなうと持っている財産のほとんどを手放さなければなりません。

リスクもあるため、自己破産を考える場合にも必ず弁護士に相談しましょう。

自己破産の相談は自己破産の無料相談窓口|弁護士費用や生活の影響も解説をご覧ください。

自身が被相続人の連帯保証人の場合

ご自身が被相続人(亡くなった方)の連帯保証人だった場合、法定相続人で相続放棄をしても返済義務は消えません。

たとえば亡くなった方が債務をもっていて、その子どもが連帯保証人になっている場合、本来であれば法定相続人であるため、相続放棄をすれば返済義務も消えます。

しかし、子どもが債務の連帯保証人だった場合には、相続放棄をしても返済義務はなくなりません。

この場合は、前章で解説したとおりの対応をして、債務を整理・返済しましょう。

まとめ

以上、この記事では被相続人が連帯保証人だった場合の債務の相続について、詳しく解説しました。

亡くなった方が連帯保証人になっている場合、相続を受けると債務も引き受けることとなります。

そのため、債務が大きくなるようであれば相続放棄が有効です。

ただし、既に相続放棄の期限である3ヵ月を超えている場合には、放棄はできません。

その場合は返済をおこなうか、任意整理または個人再生などの手続きをおこなって返済額を減額する方法を取ります。

そのような状況にある場合には、個人で動くよりも弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士に依頼することで、依頼人の利益を最大限損なわないようにベストの方法を提案し、手続をおこなうことが可能となります。

個人での対応に困った際はぜひ一度、弁護士への相談をご検討ください。

また弁護士へ相談する場合は相続を弁護士に無料電話相談する方法|弁護士の選び方や費用の相場も解説をご覧ください。

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